確率の話をしてみようa (補足1)

「ある30分間の間に子供が生まれる可能性が30分の1である時、15分間に子供が生まれる可能性はいくらか」という問題だ。

この問題でも「くじ引き型として良い」とすると、「最初の15分間」と「最後の15分間」では「分娩室の前で待っているあなたが期待する確率が2倍違う」ということになる。

この説明は間違い。モデルに問題があるため、そう簡単ではなかった。

という点についての質問があったので、補足説明をしておく。*1


「60個の箱の中にコインが入っている」という例で説明しよう。*2


まず、この箱を二つずつ30組に分ける。そうすれば、どれかの一組にコインが入っている確率は30分の1になる。


さてここで、「15分経過して子供が生まれなかった?」とはどういう事象だろう?「自分が選んだ組の箱を一つ開けただけ」だろうか。*3


ところが実際には「全ての組で一つの箱が開いた」事を意味しているのである。問題通りにするためには、それぞれの組の二つの箱には「最初の15分の結果」「後の15分の結果」という意味がある。「最初の15分に生まれなかった」という事実は「あなたが選んだ一組」の中の「最初の15分の結果」ではなく、全ての「最初の15分の結果」に適用されるのだ。



この説明はおそらく納得しがたいと思われるので、場合分けを使って説明してみよう。



まず、最初に組を選んだとき、コインが入っている組を選んだ確率は30分の1である。

では、「正解の組を選んでいたとき」一つ目の箱にコインが入っている確率はどれだけだろうか?これは60分の1ではなく、2分の1である。これが条件付き確率であることを思い出そう。

最初に外れの組を選んでいた場合には、必ず外れるので確率は0である。(より正確には、外れを選んだ可能性が30分の29、コインが入っている確率が0、掛け合わせて0である。)

結局、箱を開いてコインが入っている確率は、

\frac1{30} \times \frac12 = \frac1{60}

となる。



さて、一つ目の箱にはコインが入っていなかったとして、次の箱にコインが入っている確率である。

最初に正解の組を選んでいた場合、一つ目の箱にコインが入っていなかったのなら、二つ目の箱には必ずコインが入っている。

では、「最初に正解の組を選んでいた」確率は30分の1、この条件でコインが入っている確率は1。すなわち、「一つ目の箱にコインが入っていなかったのなら、30分の1の確率で次の箱にコインは入っている」ということになる。


どうしてこんな事になるか?

少し見方を変えてみると当たり前のことである。

「一つ目の箱には絶対に入っていない」という条件があるのなら、30組に計60個の箱があるとはいえ、コインが入っている確率がある箱は30個しかないということなのだ。

*1:びっくりさせるための例なのに説明が少ないのだから、質問があるのは当然かもしれない。つまり、最初から用意しておけ!ということだ。

*2:質問者が挙げた例なので。

*3:筆者は質問者がそう考えたと思ったのだが、実際はそうではないようだ。だが、あり得る考え方なのでそのままにしておく。