確率の話をしてみようb (補足2)

これもありがちな間違いかもしれないので、補足しておく。


「問題文に書かれていない事は考慮に入れてはいけない」ということである。


「最初の30分に生まれる可能性が30分の1なら、その後に生まれる可能性が30分の29あるはずだ」と考える人がいるようなのだが、これは間違いなのである。

なぜなら、問題文が示しているのは「30分以内に生まれる可能性」であって、それ以降については何もいっていないのだ。それはつまり、「31分後には病院の電源が落ちて生命維持装置が止まり、患者は死亡する」*1というような事柄も排除されない、ということである。


30分の29になる確率として考えて良いのは、「この30分の間には生まれない確率が30分の29ある」というものだ。



問題で述べられていないことは考慮に入れてはいけないということはすなわち、「30時間以内に子供が生まれる可能性87%をポアソン分布でモデル化するのであれば、受精直後に子供が生まれる可能性だってあるはずだ」という議論が間違いであることを意味している。なぜなら、「受精直後」は問題の定義域に含まれていないはずだから、受精直後にはモデルを適用することができないのだ。(受精直後から30時間で87%出産する生物、であれば話が変わってくるが。)

ただし、変則的な設定をしない限り、普通のポアソン分布では「二回生まれる」ことを排除しないかもしれない(笑)

*1:とても残酷な想像なので書きたくなかったが、子供が生まれない例でなければならないのだ。R.I.P.