とんでもにトンデモ

ネットの口コミを見ていると、何でも「トンデモ」と決めつけてしまう傾向に時々あきれてしまう。

http://mainichi.jp/area/kanagawa/news/20090319ddlk14040128000c.html
「永久機関」としか思えない発電装置が報道される | スラド

元の記事が悪くて一体何が言いたいのかさっぱり分からないのも問題なのだが、コメントなどを見ているとやたらと「永久機関」とかいう話が出てくる。



たとえば、太陽電池

たとえば、潮汐力発電。

たとえば、地熱発電

どれも動作原理を省いて外側だけ説明すると「永久に発電を続ける装置」のように見えてしまう。実際には「外部のエネルギーを電力に変換しているだけ」なのだ。


中には「電磁力という時点で…」とかいうのもあったのだが…「電磁気力を使わない発電装置なんてボルタ電池と太陽電池と核電池と燃料電池だけ」じゃなかったっけ?(というか、あげたものはすべて「発電機」じゃなく「電池」と呼ばれることに気がついた…)



記事のタイトルを見たときには「地磁気変動でも使って発電するのか?そんなので実用出力なんてでるの?というか、安定して発生するの?」とは思ったが、それほど奇異には思わなかった。記事を見てから意味が分からなくなったけど(笑)


ちなみに説明されている構造は普通のダイナモ発電機の構造をちょっと変えたようなものに過ぎないように見える。かなり当たり前に発電はできるだろう。

従って、「記事の意味が分からない」「毎日の地方記者は科学に弱すぎる」という意見は全く正当だと思うが、「トンデモ」とか「新手の詐欺」とかいう批判は的外れに思える。



ちなみにこの装置の正体なのだが、スラッシュドットのコメントをみて、本当はフライホイールを使った蓄電装置なんじゃないのか?という説が有力かと思った。風力発電太陽光発電で発電した電気でフライホイールを回して、フライホイールの方を使ってあらためて発電する訳だ。記事にも「回転があがったら」という記述があるのがそれを伺わせる。蓄電装置と発電装置を一体化した装置というわけだ。フライホイールの回転エネルギーを電気として取り出すと、当然フライホイールの回転が低下する。(どうして回転が低下するのは分からない人は発電機の仕組みを勉強すること(笑))フライホイールに追加で提供されるエネルギーより取り出す量が多いと、そのうち回転が止まる。

この仮定を頭に置いて記事を見ると、「風力発電を効率的に運転する技術開発に取り組む中、24時間稼働できない太陽光発電風力発電に代わる装置として、6年前から電磁力を使った発電プラントの開発を進めてきた。」という文章が目につく。

つまり、これは「風力発電装置に併設する発電プラント」という、割に地味な装置を紹介している記事なのだ…

だれか実際にいって見てきてくれれば分かると思うし、そういうのが本当の集合知とかWeb2.0だと思うのだけれど…


実際に行った人の記事を見ると、「蓄電装置をそうでないように見せかけようとしている」という意見が正しいようにも思えてきた。まともに展示もしていないらしいし。最も強い論拠は「発明したとしている人の人名」らしいけど。そういう事例が同名で以前にあったから、だそうだ。あと、紹介されている構造がその筋で有名な永久機関と主張される物に似ていること。まぁ気になるのは「中身が分かる前に信じる人/トンデモと言い始める人」なのでどうでも良い(笑)




ムペンバ効果の騒ぎ*1の時にも思ったのだが、どうも日本のネットのトレンドは何でも「トンデモ」にするのが好きなようだ。私にいわせれば、意味不明の「マイナスイオンでリフレッシュ」とかの方がムペンバ効果よりよほど意味不明なのだが。

*1:流体の冷却過程はかなりの複雑系なので、そんなことがあっても何ら不思議ではないし、なんの物理法則にも反しない。真空ポットに入れているとお湯が冷めなかったりするのと同じレベル。容器の中の水を指して「何度の水」なんて事が言えるのは「全体の温度が均一になっているときだけ」ということを理解していない人が混乱していたようだ。そういう人は風呂を沸かしたこともないのだろうか…