括弧と句点

約物 - Wikipediaで『これらの括弧のうち、閉じ括弧の直前に句点を置くことは誤りである。』というのを見た。「要出典」となっている。


で、多分そんな規則はありません。
特に「引用符として使う(と、同じ項に書かれている)」のなら通常の鉤括弧と同じですから、当然句点を置くことがあります。
JISの組み版ルール(X 4051)でもこの辺の記号は「閉じ括弧類」としておおざっぱに分類されている*1ので、そんな規則はないでしょう。ちなみに、句点+閉じ括弧類の場合の組み方が4.2d)に記されているので、この並びは許されていることが分かります。


しかし、このルールにちょうど当てはまるものを私はたまたま知っています。それは「アメリカ式英語組み版ルール」です。
アメリカ英語の組み版ルールでは、「引用符が独立の一文を構成する場合でも終わりにピリオドを置かない」というルールがあります。ちなみに、イギリス式では「引用符の中身が完全な一文を構成するなら、ピリオドは引用符の中につける。一文をなしていないならピリオドは引用符の外につける」というルールになっています。*2

  • He said, "I do not know".(american)
  • He said, "I do not know."(british)
  • He said a name, "John".(both)

という感じだったでしょうか。(細かい部分は自信がない。)

本来なら、「He said, "I do not know.".」になるような気がしますが、アメリカでは機械的に引用符の中のピリオドを消します。イギリスでは文脈を見てどちらを消すか決めるようです。


ちなみに日本語で「閉じ括弧の前に句点を入れない」ことが多いのは、作品に会話文が多いどこかの書店の組み版ルールだったような気がします。さすがにどこだったか忘れましたが。昔、「出版社によって意外と組み版ルールが違う」というネタを読んだ時にそういうのがあったような。

*1:というか、なぜ閉じ括弧類に読点が含まれるのかおおざっぱすぎて分かりません。やってみたら処理が同じだったから、とかでしょうか?

*2:シカゴだったか、オックスフォードだったかに書いてあったはず。ハーツの規則ではなかった。