直径と空集合

仕事関係でよんだ文書に、「HTMLで直径を表す記号を書くときに文字実体参照empty(∅)を使え」と書いてある箇所があって引っかかった。
一応調べてみたが、文字実体参照emptyは「集合論における空集合empty set」を表す記号であって、由来的に「0にスラッシュ*1」である。
対して直径を表す記号はJISでの読み方が「まる」であることからも「丸にスラッシュ」。
どちらも「無いときにはギリシャ文字ファイの小文字を当てていることが多い」という点では共通だが、本来の字形はかなり違う。
で、なぜこんな誤解が生まれているのか理由が分かった。empty setはUnicode文字コード0x2205を与えられているのだが、MSとかがこのコードに割り当てている字形が「丸にスラッシュ」なのだ。手元の機械に入っていたフォント全てが同じような形で、唯一Operaのフォントだけが正しく「0にスラッシュ」になっていた。この字形を見てそんな誤解が広まっているのだろう。フォントのデザイナーは「empty set」の由来を知らなかったようだ。
ちなみに、「直径記号」には別のコードが割り当てられているが、手持ちのフォントでは実際の文字は定義されていないかった。
日本語版wikipediaでも、空集合の項目は正しいが、径の項目では明記されない。
どうも、「違うと思う」という人は多いが、「違う」という確証のある人がいないらしい。私も「JIS記号の由来」が分からないので絶対にそうだとは言えないのだが。ただ、文書を見る限りではアルファベット小文字のoにスラッシュを重ねて斜体にしたものに見える。特にSo(oは本当は半径記号)と書かれているところ。

空集合 - Wikipedia
径 - Wikipedia
(由緒正しい正しいempty setは空集合の項目で数式に出てくる奴。とても半径の記号には見えない。)

まぁ、こんなことに引っかかるのは以前TeXを使わされていたからだろう(笑)。

*1:整数における0の概念に対応するものだから