Culture First !はDRMに反対します?
「Culture First !」と「自由な著作物流通」が相反するというネタのページにやたらと反響があるらしいので、この件を考察してみる。
ちなみに、私がCulture First !として言及するのは欧州ですでに存在する活動*1についてです。なぜなら、国内の団体も「欧州にならって」「協力して」活動するそうですので、本来この考え方でよいはずです。*2
Culture Fitst!連合はこれに対し「補償金がある国もない国もコンテンツの流通量は変わらない。DRMは、ユーザーが利用しているコンテンツを把握するためプライバシーを侵害する。ユーザー調査の結果では『補償金を支払ってでもコピーの自由を確保したい』という意見が多かった」などと反論したほか、有名映画監督や俳優などを巻き込んで補償金撤廃反対のイベントなども開催した結果、「まずは勝利した」(バティストさん)
「iPod課金」は「文化を守るため」――権利者団体が「Culture First」発表 - ITmedia NEWS
Culture First連合が発足した背景には、欧州における補償金制度の動向が挙げられる。欧州委員会(EUの行政執行機関)では2005年末、消費者の私的複製を制限する著作権保護技術(DRM)を考慮し、補償金制度の段階的な廃止を検討する意向を表明。これを危惧したCISACなどがCulturre First連合を設立した。Culture First連合では、DRMのデメリットを主張した結果、2006年12月、欧州委員会委員長に補償金制度の見直し計画を放棄させたという。
権利者団体が「Culture First」宣言、文化保護で補償金の拡大求める
なるほど、つまりCulture First !では「DRMは問題が多いので、補償金制度でいこう」と主張しているのですね。
確かにこれは最近の潮流に合致しています。
しかしどうだろうか。あれから半年余り。今,状況は一変している。まずこの4月,世界の4大レコード会社の一つ,英EMIがDRMを廃止する方針を発表。その後,大手音楽配信サービス会社やレコード会社が次々と同様の新方針,あるいはDRMフリー化への取り組み/意向について公表しはじめたのだ。
著作権管理にはメリットなし!? 欧米で広がるDRMフリーの音楽配信 | 日経 xTECH(クロステック)
Amazonでは既にWarner、EMI、Universalが提供するDRMフリーのMP3形式の楽曲を販売していることから、これでいわゆる4大レコードレーベルと呼ばれる全ての企業が、AmazonにDRMフリー楽曲を提供することになる。
なお、各社ともすべての楽曲をDRMフリーで提供しているわけではなく、今回参加することになったSony BMGも、どの程度の楽曲を提供するかは今のところ明らかになっていない。
AmazonがSony BMGのMP3楽曲を販売開始、4大レーベルがDRMフリーで揃う
ということは、
手段が二者択一であるなら,補償金制度だけにするのがより良い策だと私は考えます。社会的コストを低く抑えられるからです。ただし,現行の補償金制度には問題が多い。補償金制度は一般に,配分を行うための中間主体がある場合と,透明かつ効率的な配分システムが存在しない場合に非効率になります。今の補償金制度は,まさにこの状況にあります。
法政大学 准教授 白田秀彰氏インタビュー,「法は単なる調整手段,技術者は自由に進め」 | 日経 xTECH(クロステック)
という主張とも相容れないところは一つもないわけです。
デジタル放送のコピーワンス制限もDRMですから、Culture First !を推進している日本の諸団体の方々は、機械的にも複雑なコピー制限*3を撤廃するということになるはずです。
実にめでたいお話です。
文化庁長官の諮問機関である文化審議会 著作権分科会私的録音録画小委員会の2007年度第16回会合が、2008年1月17日に開催された。この中で、「権利者の要請による著作権保護技術(DRM)」が設けられた利用形態において、順次私的録音録画補償金を廃止していくことなどを盛り込んだ最終報告の骨子が事務局から提案され、大筋で了承された。同小委員会では2006年の設立時から、メーカー側・ユーザー側と権利者側とが激しく対立し続け、合意形成が困難とみられていたが、抽象的な内容ながらひとまず合意形成を実現した格好だ。
「権利者の要請によるDRM」を条件に補償金を順次廃止へ――文化審 | 日経 xTECH(クロステック)
あれ、これは一体いつの記事なのでしょうか。
それとも、参加している団体の顔ぶれが全く違うのでしょうか?