レバノン
イスラエル軍のヘリコプターが先月18日、シリア南部クネイトラ県のゴラン高原で車列を空爆し、ヒズボラの戦闘員6人を殺害した。そのうちの1人は、ヒズボラのムグニエ元司令官の息子だった。ワシントン・ポスト紙は先週、ムグニエ元司令官はイスラエルと米国の情報機関が関わる作戦で暗殺されたと伝えている。
イスラエル側は、ヒズボラがすぐに報復してこないことを期待していたに違いない。だが、ヒズボラはその10日後、レバノンとイスラエルの国境付近でイスラエル軍の車両を攻撃、イスラエル兵2人が死亡した。
コラム:「第3次レバノン侵攻」は不可避か
中東情勢はすでのどうしようもない混乱に陥っているのにイスラエルはなんでわざわざ手を出すかな…と思いながら記事を読んでいたら、
それでもイスラエルには追い風が吹いている。06年のレバノン侵攻時とは違い、ヒズボラはイスラエルとの戦いにおいて、アラブ諸国からそれほど支持を得られないだろう。スンニ派とシーア派の派閥対立が深まるなか、シリアのアサド政権を支持するヒズボラに対してイスラエルが攻撃したとしても、それをとがめるアラブの国はほとんどないだろう。要するにヒズボラは、危険なゲームに興じているのだ。
と続いていて唖然とした。
アラブ諸国の支持が得られないのはそうかもしれないが、同時にイスラエルを支持する国もISIS問題で忙しいだろう。しかもこの記事だと「先に手を出したのはイスラエル」という書き方をしているのに、その正当性については一切の主張もなし。
そもそも「危険なゲーム」をしているのはイスラエルで、ヒズボラはそれに「のった(というか降りなかった)」というのが記事のストーリーだろう。対イスラエルという要因でヒズボラどころかISISに同調するアラブ勢力が増えるかもしれない危険なゲームだ。
*筆者は、国連中東特別調整官や同レバノン特別調整官などを務めた経歴を持つ英国の元外交官。
とあるのを見て、中東が今世紀中に治まるのかどうかすら疑問に思った。むしろ「全てポジショントーク」なのかもしれないが。