口蹄疫

ワクチン接種は、殺処分を実施するまでの間、ウイルスの勢いを弱めて感染拡大を防ぐのが狙い。ただ抗体ができて食肉には向かなくなるため、接種した家畜は殺処分が前提となる。

asahi.com(朝日新聞社):口蹄疫、新たに20万5千頭殺処分へ 政府が新対策 - 口蹄疫の猛威

口蹄疫にかかった家畜の肉を食べても大丈夫なのに、抗体ができただけで食肉に向かなくなるわけがなかろう。正しくは、いかに書かれている理由で殺処分にする。


ウイルス感染の場合、有効なワクチンがあれば流行を阻止するためにはそれを使用するのが常識ですが、口蹄疫の場合には簡単にはあてはまりません。OIEが口蹄疫清浄国とみなす条件としてワクチンを使用していない国で病気が発生していないこととなっています。口蹄疫の監視は抗体調査に依存しています。もしもワクチン接種したウシがいると、感染による抗体か、ワクチンによる抗体か、区別ができなくなります。発生が疑われる場合でも、これはワクチンによる抗体だと言い逃れされることにもなります。  
 今回のような限局した発生であればワクチンを使用せずに、発生のあった農場の動物をすべて殺処分することが清浄国の立場を保つのに必要なわけです。もしも発生地域の周辺でワクチン接種を行ったとすると、ワクチンを接種されたウシがすべていなくなったのち、3ヶ月間病気の発生がないことという条件になります。一度ワクチンを使用すると、清浄国にもどるには大変な手間と期間が必要となります。有効なワクチンがあっても、畜産の保護という観点からワクチンの使用は簡単には実施できません。

霊長類フォーラム:人獣共通感染症(第96回)4/19/00

つまり、貿易の都合。