インフルエンザ・ウィルスの重傷度と感染力

ウィルスのレセプターについて検索すると、こんな記事がひっかかった。学会誌*1の記事なのでむしろ論文のたぐいかも。
http://jsv.umin.jp/journal/v56-1pdf/virus56-1_085-090.pdf

uminは医学関係の政府系インフラだった気がする。


鳥インフルエンザの症状が重く感染力が低いという理由について、「感染に使われるレセプターの発現分布が密接に関わっている」という内容。鳥インフルエンザの感染で使われるレセプターは呼吸器官の深部で発現しているものなので、ウィルスがそこまで到達しにくく感染力が低い。但し感染するとその部分で細胞障害を起こすので容易に肺炎などを発生させる、というものだった。


インフルエンザの「強毒性」「弱毒性」は症状の程度と言うよりはむしろ「全身性」と「局部性(呼吸器官)」の違いを指すようなのだが、これらにしてもやはりレセプターのバリエーションの変化に由来するのだろうか。


で、これを見て思ったのは「余程都合の良いレセプターへの親和性を獲得しない限り、症状の重さと感染力の強さは両立しないのではないか?」と言う事。細胞内で更に別のタンパクをコードする…ほどのDNA量はあり得るのだろうか?


ちなみに、ウィルスの進化としては「弱毒性を獲得する」ことの方がむしろ有利とされているのだが。(一番有利なのは慢性化する事。いくらでも増えるから。)

*1:日本ウィルス学会学会誌