グルジア

欧米も、軍事介入までロシアが「平和維持軍」として南オセチア住民を保護してきたことや、停戦後、平和構築のため南オセチアに部隊を駐留させることには反対していない。批判しているのは独立派勢力の支配地域を超えたグルジア支配地域へのロシア軍の進駐や空爆であり、南オセチアアブハジア自治共和国の独立を一方的に承認したことだ。

http://mainichi.jp/select/world/asia/news/20080831k0000m030040000c.html

一般的な報道の論調を見るにそんな風にはとても見えないのですが(笑)



この表現では「グルジア支配地域」と明確にされているけれど、たいていの場合表現は「グルジアからの撤退」だ。「南オセチアグルジア自治州」という立場なのに、「グルジアから撤退しろ」というのは本来「南オセチアから撤退しろ」と言うことで、停戦合意にすら反している。

その辺をいいかげんにしたまま報道しているので、いい加減に聞いている人達はちゃんと理解もしていないんじゃないかと思う。


ロシア側が南オセチアをこえて攻撃したり、緩衝地帯を設け駐留している点については、今回の紛争が形式的には「グルジア側の無通告の大規模攻撃(しかも深夜)」によって開始したことを考えれば、おかしな事でもなんでもない。

それぐらいしないと南オセチアの避難民を戻すことも出来ないだろうし、停戦合意の「追加的安全措置」の内容を詰めていなかったとすれば、それぐらいの拡大解釈をされるのは当然だろう。そもそも、グルジアとロシアの戦争としてとれば、ロシア側は「一方的に開戦された側で、さらに戦勝国」なんだから。*1

ついでに言えば、攻撃の直前には「グルジアがロシアに南オセチアとの仲介を頼んだ」という報道も流れていたのだが、これは一体どう扱われているんだろう。誤報


二つの紛争地域の独立承認については、こういう事例で利害関係国が一方的に国家として承認するのは普通のことではないかと思う。

そもそも、ロシアは欧米がコソボ独立を承認したのを非難しているのに欧米側は無視してきたのだから、今更ロシアを非難しても説得力がなかろう。


公平に見て、ロシア側を一方的に非難する論拠はほとんどないのに、欧米側があれだけ非難を騒ぎ立てているのだから、ロシア側が態度を硬化させるのも当然だろう。

最近のプーチン首相の『それは言わない約束でしょう』的発言*2はその辺の憤懣を表しているようにも思える(笑)


ちなみに、記事の本題の上海協力機構の反応はつまり、「我々も国内に独立紛争を抱えているんですけど」って事でしょう(笑)

*1:tanakanews.comでは「太平洋戦争におけるアメリカ」になぞらえられていた。

*2:マケイン陣営陰謀説とか、欧州政府の米国盲従発言