白日作戦

きわめてどうでも良いが、「白日作戦」でgoogle検索すると、はてなのページが上位になる。(このブログも含む。)
なぜか、本家の方が順位が低いです。


ある日、昼食を食べていたら隣の席からこういう会話が。
「投票いった?」
「行かなかった。入れる候補いないし。」


ネットを検索していたとき「無効票入れても意味ないだろう」というのもあった。


しかし、これは間違っていると思う。別に「民主主義国家の一般国民として実行するほぼ唯一の民主主義的行動だから」とかいうお題目じゃなくて、「政治屋たちへのマーケティング対策」としてだ。


政治家:自分の理念に基づいて政策を計画・実行する人。
政治屋:自分の利益に基づいて政策を計画・実行する人。

と定義する。

この定義からの展開として

  • 政治家は自分の頭で「理想の社会」を考え、それと現実をすりあわせるために行動する。この場合、庶民の意見というのは自分の「理想の社会」の価値を確かめるものであるので、気にはするが絶対ではない。むしろ逆に「自分の意見」を庶民に伝えることに熱心である。行きすぎると専制的になったり暴走したりしかねないのが注意点である。
  • 政治屋は利益確保のために当選することだけを目的とする。従って、票の確保のために「庶民が理想と思っている社会」と「自分が表明する事柄」をすりあわせるために行動する。自分の意見・理想などは持ち合わせないか、不利になるので一切口にしない。また、「自分が表明した事柄」と「自分が実行した事柄」の不一致を隠すことにも熱心である。何ら「生産的ではない」のが問題点である。

とおこう。


政治を更生しようとする場合、政治家は放っておいて構わない。なぜなら彼らは「正しい民主主義において必要なもの」だからである。*1


というわけで、「政治屋」をどうにかすることを考えてみる。
これは実は簡単である。。「政治屋」は常に「票田」というマーケットをリサーチしているからだ。彼らの行動を誘導してやるには、彼らに見せるマーケットの内容を我々にとって望ましいものにしてやればいいのである。

本来、日本は普通選挙*2なので、「政治屋」が調査するべきマーケットは「国民全体」のはずだ。にもかかわらず、「政治屋」が「国民全体」にとって都合の悪い政策を打ち出してくるのはなぜだろう?

その答は「投票率の低さ」にある。「政治屋」達は「世の中には投票に行く人間と行かない人間がいる」ということを知っている。そこで「政治屋」は「投票に行く人間」だけをマーケティングの対象として見ているのだ。そしてその戦略はだいたいに於いて成功してきたのである。*3

そこで「白日作戦」の意味が出てくる。普段は投票率40%だった選挙が投票率50%になり、しかもその増えた10%が全て白票/無効票だったとしよう。
確かにその回の選挙には全く関係がない。しかし「政治屋」のマーケティングに取っては大事件である。
選挙会場にまで行くのであれば、「無効票を投じる」のも「誰かに投票する」のも労力としての大差ない。つまり「白票を入れた人たち」は「次に誰かに投票するかもしれない人たち」ということになるのだ。かくして「白票を入れた人たち」は「選挙に行く人」として彼らのマーケティング対象になる。
だが、「白日作戦」において発生した新しい「選挙に行く人」達には共通の理念がほとんど無い。あえていえば、「政治的に意識のある人」というだけだ。「政治屋」は彼らの票を獲得するために様々なことを考えざるを得ない。残念ながら、「有名人候補*4」などの空虚な対策を打ってくるかもしれないが、とにかく色々と考えるだろう。


この作戦の最大の目標は、「色々考えた政治屋」達の中から「望ましい政策を出した候補者」が出てくることだ。*5政治屋の特徴として、「成功したマーケティング戦略」にはたくさんの追随者が出ることがあげられるので、その政策はあっという間に「潮流」になる可能性もある。


あるいは、「たくさんの無効票」が投じられているのを見て、新しい「政治家」が立候補する決意を固めるかもしれない。期待薄だが、こちらの方が役には立つだろう。


どちらにしても、「変化」を促すことは出来るだろう。まぁ、10年の計というところか。

しかしながら、ここまで読んだあなたにカリスマがあるのであれば自分が立候補した方がよっぽと早いのかもしれない。格好良く落選したり、格好良く一期で落とされたりするかもしれないけど。*6

*1:彼/彼女の理想に問題があるなら民主主義的手続きで落選させる。彼/彼女は自分の理想・目的を隠さないはずなので、簡単なはずである。

*2:選挙権に財産等による制限がない制度

*3:冷静に人数だけ考えればたいしたことのない団体が政治的発言権を持っていたりするのは、その団体に属する有権者投票率の高さによっていることがある。

*4:有名人候補の最大の問題は、担ぎ出す側にある。有名人候補は政治家としての立場に執着など無いはずなのだから、当選した後はギャンブリングに自分の政策を打ち出していけばいいと思うのだが、大抵の場合、単なる傀儡になってしまう。素人らしく格好良く理想論をぶちかまして、「対抗勢力」(括弧付きの表現だ)とぶつかって、一期で辞めた方が人気にもいい影響があると思うが。

*5:当然、その政策を実行したかも見る必要があるが。

*6:アル・ゴアみたいに「一瞬だけ知事だった○○です」とか言えるかもしれない。