喫茶店のピアノ演奏とJASRAC

ニュースをさらっと聞いた限りでは「払っとけ」という感想しか持たないが、ちょっと細かい話を聞くと「へ?」ということが連発してくる。
最近の訴訟の判例情報 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20070131152830.pdf

  • 管理著作物の演奏は権利侵害

まぁ、これは当然。

  • さかのぼって使用料を支払え

まぁそうだろうか。しかし、どうやって算出する?このあたりでなんだか雲行きがおかしくなってくる。判例を参照しても、被告が払う気がなくなったのが理解できる。何しろ「根拠不明」な要求が多くてかなりの部分を裁判所が却下している。*1しかし、「会場を貸した」時の使用料は会場側が払うものではないのでは?

  • 以降演奏を行うために利用料を支払え

この料金体系がかなり謎で、やたらと包括的な契約しかできない形になっている。*2その上、高い。音楽を演奏することを主な業務としている店なら分かるが、おまけで演奏するには支払い不可能。というか、この場合それほど演奏に価値があるとは思えないが。しかも、「JASRAC管理楽曲を使わなければいい」という主張も認めていないらしい。いや、あなた方は公権力でも何でもなくてただの「団体」ですよ・・・。登録すれば管理団体は作れるし、実際に他にも存在しています。*3
このあたりの記載を見ていると、その辺を勘違いしているような気がする。
手続きの前に
自分たちが制度上「ワン・オブ・ゼム」であることを意識していたら「楽曲を使ってなくとも連絡しろ」とはとてもじゃないがいえないはず。だって、管理団体は「認可制じゃなく登録制」ですから、100や200あっても別段おかしくないのです。その団体が全部そんな要求を出したらどんなに大変なことになるか。
ところで、検索するとJASRACをなくすにはどうしたらいいか?とかいうネタが引っかかってきますが、一応理論的にいえば、「JASRACに管理委託されている楽曲は使わない」というのが市場原理ということになります。まぁ、実際上無理ですが。
そういえば、JASRACが決めた利用料率とか請求方法の制約は独占禁止法による規制の対象にはならないのでしょうかねぇ。明らかに市場を独占していると思うのですが。「包括契約しか認めない」というのは、「抱き合わせ販売しか認めない」というのと同じような気がするのですが。

*1:請求256万円、認められた額166万円。まぁ、損害賠償請求と考えると結構認められた方か?

*2:この包括請求自体、著作権者の正当な権利の行使を阻害している、という意見も見た。確かに何かおかしい。JASRACは管理の委託を受けているだけなのに、そんないい加減な請求の仕方でいいのだろうか?

*3:2000年に法律が変わったそうです。