中間フォーマット仕分け

PDFより何が優れているのか? 事業仕分けで電子書籍中間フォーマットを議論 -INTERNET Watch Watch

まぁ、仕分けに載るとその指摘「民間企業がやればいいんじゃないの?」が出てくるとは思っていた。

元々の計画が「民間の議論に道筋を付ける」事だったと思われるので、その指摘はもっともでもあり、同時に的外れでもある。


個人的には

  1. 海外の規格が整うのを待っていられない状況なので、早急に国内をまとめる必要があった。
  2. 国内で主導権を取って事業を成立させなければ国内に収益は残らないので迅速化のために予算を投入した。

あたりの説明にした方が通りが良かったと思うが。


ちなみに「民間の業者として標準化しなければビジネスが成り立たないのだから、国が予算を付けなくても標準化はなされるのではないか」は「誰かが旗を振らないと全員が手控える」状況と思われたので不適切。というか、別に成り立つんだよね、大きくなりにくくなるだけで。「三度目ぐらいの電子書籍元年」にあたって、「前二回ぐらいの反省点」は「品揃えが悪いと市場が形成できなくて商売が回らない」だったわけだ。

そもそも標準化というのは「業界全体の利益」という面が大きい。特にコンテンツでは。一社がある程度成功したいだけなら標準化なんてしない方がいいといういい例が、AppleのiPxxxシリーズだろう。


EPUBについては一部私企業(しかもそんなに大きくないとか?)が自分の得になるかどうか分からない事にかなりの資金をつぎ込んでいる状況と聞いているので、さすがに無理があるだろうという話があるのだが。せめて国際会議に出るための渡航費用ぐらい出してやれ、という話がどこかで出ていた。



しかし、「PDFに対する優位性」の説明が必要なのか…。一言で言うと、「リフローが可能かどうか」という点において携帯端末での電子書籍でPDFは今ひとつなのだが、逆にiPadとかを念頭に置いている人にはそういう点は思い浮かばないのだろうなぁ。そもそもPDFは最終フォーマットだから、質問が成り立っていないとも言えるし。



あとブックマークコメントを見ていて、「やっぱり中間フォーマット*1の意味が分かっていないな」という感じがした。EPUBは最終フォーマット*2だし、中間フォーマットが不統一で実際に困るのは販売業者*3だったりする。

*1:これを処理して最終フォーマットを作成する元データ。最終データより多くの情報を含む。

*2:EPUBにあわせて元データを作ったのではその先の展開がない。その上、現状のEPUBでは日本語を取り扱いに不十分で、市場状況的にはそれが整うのを待ってから事業を立ち上げるわけにもいかない。その結果、事業の開始に消極的になり、最終的に海外勢にマーケットを持って行かれるという事態が想定された。日本全体で中間フォーマットを確立すれば、EPUBを無視しても国内向け事業が成り立つと期待できる。更に、対応圧力の関係で中間フォーマットから日本語対応のEPUB出力も補償されると期待できる。従って事業を始めやすい。電子書籍の見通しが微妙なのに複数が動き出しているのは動きやすくなったからだろう。

*3:複数の中間フォーマットに販売業者が対応できなくて品揃えが悪くなり、結果的に消費者に不利益があるというながれ。これを記事で囲い込みと表現している。